採用コラム

Column Vol. 17

考えが行き詰まったら、まず行動してみよう

経営者が「なんのためにこの事業に取り組んでいるのか?」「自分たちはどこへ向かっているのか?」といった根源的な問いに向き合い続けなければいけない理由について前回は触れましたが、社員の方も「何のためにこの仕事をしているのか?」「自分はどうありたいのか?」といった問いを考え続けることが必要です。

ただし、すぐに問いの答えが見つかって行動に移せる人はよいのですが、実際にはずっと考え続けてもなかなか答えが出せず、立ち止まっている人が多いと感じます。もし「自分のやるべきことは何だろうか」と一定期間考えてピンとくる答えが出てこなかった場合、いったん考えることをやめてまずは行動してみることをお勧めします。

たとえば転職相談会を開催すると今の会社で働き続けるのか、それとも転職すべきかで半年も一年も考え続けている人を見かけることがあります。「今のままの仕事でよいのだろうか……」と悩んでおられるのですが、現在置かれている状況をおうかがいするとすぐに転職する必要性はないものの、転職はやめたほうがいいと判断する理由もない。こうした「これ以上考えても結論は出ない」という人には、こんなアドバイスを私はします。

「期限を決めて、真剣に転職活動をしてみてはいかがですか。そのなかで今の仕事よりやりたいと確信の持てる仕事や会社に出会ったら転職し、出会わなかったら腹をくくっていまの仕事に没頭しましょう」

こうアドバイスすると、みなさんスッキリした顔をされます。

結局、実際に動かないことには何もわからないし、状況も変わりません。ここでいう「動く」とは転職することではなく、いろいろな会社を調べて話を聞きに行ったり、人のアドバイスを受けたりすることを指します。「計画された偶然」という概念が示すように、人のキャリアは偶発的な要素によって決定される部分が大きいので、よりよいキャリアを築くにはその偶然を計画的に起こしていかなければなりません。

動いてみなければわからない、何もはじまらないというのは事業や経営も同じです。当社では人材紹介事業のほかに高級家具やシステムキッチンの販売も手がけていますが、過去にこの事業が行き詰まったことがあります。そのとき、打開のカギになったのはとにかく行動してみることでした。

「このままではジリ貧になる」と危機感をもった私は一晩考え、打開策として商品をイタリアかドイツから輸入したらどうかと思い調べたところ、たまたまイタリアビジネスに詳しい人と知り合い意気投合。その翌月にはイタリアへ飛び、そこで知り合ったサプライヤーと契約することで、一気に経営危機から脱出できたのです。

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社員の立場からすると、「経営者が何を考えているのか」はなかなか見えにくいものです。売上や利益を伸ばしたいということはわかってもそれをどうやるのか、売上や利益を伸ばした先にどんな会社の将来像を描いているのかといった話は、ひんぱんに酒の席を一緒にしても伝わらなかったりします。

ところが経営者が考えていることをフィロソフィーとして言語化して一人歩きさせると、社員は「そうか、社長はこんなことを考えていたのか」と知ることができます。社長の考えのなかには社員の信条と合わない考えが入っているかもしれませんが、それも含めて経営者はどういう会社にしたいのかをきちんと社員に伝えなければなりません。

社員にフィロソフィーを伝えるためには、その前提として経営者は自分の役割は何か、会社の役割は何かと常に自問自答する必要があります。

私は会社には与えられた役割、もっといえば命(めい)があると考えています。もし役割を充分果たせず、なおかつ他に役割を果たせる会社があれば、その会社は存在する意味がなくなってしまいます。しかも時代の変化によって会社に求められる役割は変わるので、それに合わせて会社も変化しなければ、かつて役割を果たしていた会社も存在する意味を失ってしまう。自分たちの役割とは何かと常に問い続けるべき理由がそこにあります。

「何のため」という根源的な問いを考えるプログラムとして、私たちは今年から「森の研修プログラム」を開始しました。これは大自然のなかに身を置き、森の力を借りて思索を深めるもので、日が暮れる頃から森でたき火にあたりながら「何のためにこの事業に取り組んでいるのか?」、「自分たちはどこへ向かっているのか?」といった話をしていきます。

「これまで自分は一生懸命仕事をしてきたが、どこに向かって、どうしたいのかな……」

先日、このプログラムに参加されたある会社の幹部の方はこうおっしゃっていました。また、たくさんの経営幹部が参加した別の企業はその後、皆さんがみちがえるようなパワーで仕事をしています。「何のために」という命や方向性が定まると、人はものすごく強い力を発揮するようです。

根源的な問いと向き合うためには、あえて日常から切り離された森のなかに入り、大自然のなかに身を置いてみることが有効です。アメリカではすでにこうした森にこもって思索を深めるプログラムはよく知られるようになり、マンハッタンのエグゼクティブたちが参加しています。これからは日本でもこうしたプログラムが普及し、自然のなかで自らのフィロソフィーを思索する「森の時代」がやってくるのではないかと私は思っています。

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