採用コラム

Column Vol. 13

面接は「ジャッジ&フォロー」の場!

採用フォローは内定を出した後に行うものと考えている人事担当の方が少なくありません。このように面接は企業が候補者をジャッジする場と思われがちですが、本当は並行してフォローも行う「ジャッジ&フォロー」の場です。

たとえば一次面接で人事課長が候補者とお会いしたとき、ジャッジしながら「この人は良い」と判断したらフォローも織り交ぜていきます。面接中のフォローとは、相手の興味に合わせた形で自社の内容をお伝えし候補者がシンパシーを感じる場面をつくり出す、あるいは候補者の質問に対し相手が知りたい方向性で丁寧に深掘りして答えていく、といったことです。次の二次面接、最終面接でも同様に人事部長や社長がジャッジ&フォローを行い、候補者の気持ちを高めていくことが重要です。

もし1時間の面接なら、30分である程度のジャッジはできるでしょう。当初はジャッジ8割、フォロー2割くらいの気持ちで面接に入り、良いと思えばジャッジ5割、フォロー5割くらいに気持ちの配分を変え、最後はジャッジ2割、フォロー8割くらいで終えるのが人事担当者の正しいあり方です。選考が終わり、採用が決まったら、配属部署で同僚になる予定の人たちと面談したり、トップや幹部社員と会食したりといったフォローをしていくことになるのが通例ですが、相手によっては逆にトップとの会食から採用プロセスが始まる場合があります。それは、転職市場にはめったに出てこないクラスの人材を採用するようなケースです。

以前、当社で大手メーカーの情報システム担当執行役員の方を、ある上場企業に紹介したことがあります。この候補者のように地位も高度な能力もある人は、通常のプロセスで採用するのは困難です。「面接を受けるということはジャッジされるということ。故に自ら応募はしたくない」という心理を持っているからです。そこで私はまず、経営幹部を求めていた上場企業社長との会食をセッティングしました。この社長は一代で上場企業を育て上げたワンマン経営者で、最初の会食で両者は意気投合。「この人が欲しい」と考えた社長はその後、社内のさまざまな部署の社員を同席させて会食を数回行い、最終的に採用が決まりました。会食が終わるたびに、社長は同席した幹部社員に「彼はどうだ?」と確認していたそうです。つまり、この社長は会食の形を取りながら候補者をジャッジ&フォローしていたのです。

私たちはこの事例のように、候補者によってはいきなりトップとの会食や社外での面談等をお願いすることがありますが、人事担当者のなかにはそれを嫌がる人もいます。でも、それではこの候補者のような人材は採れません。人事担当者の方が嫌がる理由はたいていの場合、セッティングした相手が社長の眼鏡にかなわないと後で怒られるからです。しかし、企業の将来に直結する採用は他のどの仕事よりもトップが優先すべき仕事です。「良い人がいたら無駄撃ちになってもいいから会わせろ、俺がジャッジ&フォローするから」というのが社長のあるべき姿で、それを実践していたのがリクルートの創業者、江副浩正さんでした。

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転職を希望している候補者の方は、いくら希望通りの条件でオファーをもらっても必ず不安感を抱いています。仮に給与があがっても、新しい環境下で金額に見合ったパフォーマンスを発揮できるのか? 評価してもらっていればいるほど不安感は募ります。候補者が抱く不安感の大半は「自分の力は通用するのか?」「環境が変わって今まで以上に活躍できるのか」というものです。

不安にかられた候補者に対し、私たちエージェントはこうフォローします。「絶対に大丈夫です!」単なる気休めではありません。なぜなら、企業から採用のオファーが出ているということは、企業も「この人は大丈夫」と判断しているからです。企業がそう考えているのですから何の心配もなく新しい職場で仕事に取り組めばいい。余計な心配は心身を害します。

そもそも新しい会社で働き始めるとき、事前にわからないことばかりなのは当然で、すべて確認してから転職を決めるのは不可能です。紹介予定派遣を利用したとしても、その会社、その職場を理解できる範囲は限界があります。要するに情報収集には限界があり、どこかの段階で決断を下すしかありません。だからこそ、「何のために転職をするのか」という原理・原則を確認することが重要になります。考えても仕方のないことで不安を持つのはあまり意味のないことです。

転職は「判断」するのではなく「決断」するものです。理系出身者のなかには会社の「給料」「将来性」などの判断ポイントをそれぞれ点数化し、どの会社に転職するのか判断しようとする人を見かけます。もちろん条件を吟味することは大切ですが、真剣に転職活動をされている方なら点数の高低に関わらず「直感ではこっちの会社だな……」という感覚を持つはずです。直感が働くのは何かを得て何かを捨てるというトレードオフの場面なので、それは非常に信用のおけるものだと思います。直感を含んだ判断を「決断」といってもよいでしょう。

また、決断という言葉には「決めた後の運命を自分で切り開く」という、いわば腹を括るといったニュアンスがあると思います。腹を括るかどうかで、転職後の人材の「発射角度」は決まります。したがって、私たちは候補者と最後にお会いするとき、その方が覚悟を決めて次の会社へ向かえるよう「腹括りの場面」をつくるようにしています。何も難しいことをするわけではありません。「きちんと腹を括ってください」そうストレートに言うだけです。照れ隠しもあるのでしょうが、「次の会社でうまくいかなかったら、またお願いしますね」と言ってくる候補者がいます。そんなときは、こうお伝えします。「何を言っているんですか! 腹を括って死ぬ気で頑張ってください」魂がフラフラしていると、うまくいくこともうまくいきません。

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