採用コラム

Column Vol. 12

フォローで候補者の「発射角度」を最大にせよ!

転職を希望している候補者の方は、いくら希望通りの条件でオファーをもらっても必ず不安感を抱いています。仮に給与があがっても、新しい環境下で金額に見合ったパフォーマンスを発揮できるのか? 評価してもらっていればいるほど不安感は募ります。候補者が抱く不安感の大半は「自分の力は通用するのか?」「環境が変わって今まで以上に活躍できるのか」というものです。

不安にかられた候補者に対し、私たちエージェントはこうフォローします。「絶対に大丈夫です!」単なる気休めではありません。なぜなら、企業から採用のオファーが出ているということは、企業も「この人は大丈夫」と判断しているからです。企業がそう考えているのですから何の心配もなく新しい職場で仕事に取り組めばいい。余計な心配は心身を害します。

そもそも新しい会社で働き始めるとき、事前にわからないことばかりなのは当然で、すべて確認してから転職を決めるのは不可能です。紹介予定派遣を利用したとしても、その会社、その職場を理解できる範囲は限界があります。要するに情報収集には限界があり、どこかの段階で決断を下すしかありません。だからこそ、「何のために転職をするのか」という原理・原則を確認することが重要になります。考えても仕方のないことで不安を持つのはあまり意味のないことです。

転職は「判断」するのではなく「決断」するものです。理系出身者のなかには会社の「給料」「将来性」などの判断ポイントをそれぞれ点数化し、どの会社に転職するのか判断しようとする人を見かけます。もちろん条件を吟味することは大切ですが、真剣に転職活動をされている方なら点数の高低に関わらず「直感ではこっちの会社だな……」という感覚を持つはずです。直感が働くのは何かを得て何かを捨てるというトレードオフの場面なので、それは非常に信用のおけるものだと思います。直感を含んだ判断を「決断」といってもよいでしょう。

また、決断という言葉には「決めた後の運命を自分で切り開く」という、いわば腹を括るといったニュアンスがあると思います。腹を括るかどうかで、転職後の人材の「発射角度」は決まります。したがって、私たちは候補者と最後にお会いするとき、その方が覚悟を決めて次の会社へ向かえるよう「腹括りの場面」をつくるようにしています。何も難しいことをするわけではありません。「きちんと腹を括ってください」そうストレートに言うだけです。照れ隠しもあるのでしょうが、「次の会社でうまくいかなかったら、またお願いしますね」と言ってくる候補者がいます。そんなときは、こうお伝えします。「何を言っているんですか! 腹を括って死ぬ気で頑張ってください」魂がフラフラしていると、うまくいくこともうまくいきません。

WP_Post Object
(
    [ID] => 1377
    [post_author] => 4
    [post_date] => 2015-12-02 15:18:00
    [post_date_gmt] => 2015-12-02 06:18:00
    [post_content] => 

採用フォローの重要性をお伝えすると「人材は頼み込んで来てもらうものではない」とおっしゃる経営者もいます。もちろんそれは正しい意見ですが、候補者をきちんとジャッジし良いことも悪いことも伝えた上で「一緒にやろう!」と本気を伝える採用フォローの重要性と矛盾するものではありません。「候補者に甘い顔をするとなめられる」という方もいますが、採用フォローは候補者へ甘い顔をすることではないのです。

バブル経済の夜明け前、私たちの世代が新卒で就職活動をしていた頃は、内定を出した学生を祇園の料亭に連れて行く会社がありました。そこまでやるのは行き過ぎで何の意味もありませんが、どれだけ企業側が相対的に強い時代でも、本当に優秀な候補者は数社で奪い合いになります。そういう人を本気で採用したいのであれば、「ぜひ採用したい」という情熱を伝えるフォローを経営者、人事の方にお願いしたいと思います。

一方、私たち人材エージェントでも候補者に対しきめ細かい採用フォローを行っています。複数の会社からオファーを受けて迷ったり、オファーが出たものの決断がつきかねていたりする候補者の背中を押してあげるには、いくつかのテクニックがあります。その方法を今回は二つご紹介しましょう。

(1)原点に立ち戻る 転職活動を間近でたくさん見ていると、意外と目先の事情に振り回される方が少なくありません。「給料が高い」「家から近い」「大企業だから」……。原点を忘れ、そんな目先のことを決定の理由にしてしまうのです。そんなとき、私はこう声をかけます。「ちょっと待ってください。そもそもあなたはなぜ、転職をしたかったんですか?」そして「今はやりたいことをやれない」「会社の将来性が疑問」など転職活動をはじめた原点に立ち戻った答えが返ってきたら、こう畳みかけます。「その視点から見て、今回の選択はいかがですか?」

(2)視界を広げる 目先の事情で振り回される候補者が多いと言いましたが、とくに給与の影響は大きく、他の条件に大差がない場合、A社が年俸500万円、B社が550万円の年俸を提示するとすぐB社に傾く方が多いのが現実です。しかし、給与は高くても転職活動の原点とずれている場合もありますし、生涯賃金で比べるとA社のほうが有利な場合もあります。また、給料には「見える給与」と「見えない給与」の二種類があります。前者はお金の報酬、後者はその仕事に就くことで身に付くスキルやネットワークを指します。「見えない給与はどちらが高いですか?」そう聞いて、候補者が見落としている要素に目を向けてもらうのも私たちの仕事です。要するに、候補者の方が本来の目的にかなった意思決定を行うための支援を私たちは行っているわけです。

[post_title] => 転職エージェントの採用フォローテクニックとは? [post_excerpt] => [post_status] => publish [comment_status] => closed [ping_status] => closed [post_password] => [post_name] => 11 [to_ping] => [pinged] => [post_modified] => 2019-03-06 15:20:03 [post_modified_gmt] => 2019-03-06 06:20:03 [post_content_filtered] => [post_parent] => 0 [guid] => https://www.kandc.com/kc-saiyo/column/970/ [menu_order] => 0 [post_type] => column [post_mime_type] => [comment_count] => 0 [filter] => raw )
arrow 次の記事へ (Vol.13) arrow 一覧に戻る 前の記事へ (Vol.11) arrow
CLOSE