面接官の本音
面接での質問、採用ジャッジポイントなどここだけの貴重なお話を面接官にインタビュー
日本を代表するコンビニエンスストア「セブン‐イレブン」、大手スーパーストア「イトーヨーカ堂」、大手百貨店「そごう・西武」をはじめ、通販事業の「ニッセンホールディングス」、生活雑貨専門店の「ロフト」、金融サービス「セブン銀行」など多彩な業態を擁する株式会社セブン&アイ・ホールディングス。同社で執行役員グループIT戦略推進本部長を務める米谷修氏にお話を伺った。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 グループIT戦略推進本部長 米谷修氏
【インタビュアー】コンサルタント 棚澤 啓介
現在、どのようなシステム変革に取り組んでおられるのかお聞かせください。
セキュリティレベル向上の直接的な施策と、ITの長期的な内製化という二本立てで進めています。前職では、事業部毎にITメンバーが入っていたものの、新技術に関しては外部SIer企業に頼っていた状況が同様にありました。その状態から脱却すべく、機能別の組織づくりに取り組んできました。これを当社でも進めており、新組織はインフラ、ビッグデータ、大規模開発、セキュリティ等の領域別に社外から人材を採用してつくる技術系の専門組織と、当社の事業全体の理解が進んだ組織の2つです。技術に精通している方が自ら事業課題に対して提案ができることで、「外部に頼るIT」から「自律したIT組織」へと変革していこう、と。当社のメンバーも、スキル向上意欲が高く、何かに依存せずダイレクトに貢献したい思いはあるものの、そうした機会が少なかったので、機会を与えれば皆のやる気や仕事の質も高まるのではと考えました。技術レベル向上に向けた仕組み作りや技術そのものを事業課題に対してインテグレートする仕組みを導入していきたいと思っています。
人が変わるには時間もかかると思いますが、手応えとしてはいかがですか?
2019年の10月下旬に新組織ができてまだ3ヶ月ですが、コーディング経験の無いメンバーからもっと教育を受ける機会が欲しいとの要望があり、機械学習の研修受講希望者を募ったところ定員がすぐ埋まりました。例えば、AIを活用してお弁当や総菜の製造計画を予測する仕組みをテストするため、現在は外部のSIerに委託していますが、メンバーにはPython等の開発言語を学んでSIerに勝てる品質のものをつくろうと言っています。今、メンバーは皆通勤電車の中で勉強していますよ。働きかけ次第でもっと彼らのやる気を引き出せると思っていますが、この取り組みは始まったばかりなので、具体的に成果が出るのはまだこれからですね。
とても素敵なお話です。AI以外ですと、他にはどのようなことをお考えですか?
事業部に紐づくIT部門が独自に動いているため、プロジェクトを横串で見るのが非常に難しい事から、SIer毎に異なるテストフェーズの品質やテスト内容の定義について標準化を行い、ITコストや生産性・品質を測定できるようにしたいと考えています。AIやIoT、ロボティクス等重要な要素技術も早く採り入れたいですし、アジャイル開発専門組織の社内立ち上げもスピードを持って検討していく考えです。
貴社の採用面接についても教えてください。
入社後の定着や活躍を視野に入れた上で、採用単体ではなく組織戦略を考えて取り組んでいます。面接には必ず配属想定部署の管理職が入るようにしていて、責任を持って採用することを徹底しています。これにはトップマネジメントの意思と支援があり、部長課長クラスが採用にコミットして教育育成担当も成長や活躍をサポートするという、当社のグループIT戦略推進本部全体での採用活動が不可欠です。また、面接前に「面接ポイント」を各面接官に共有しており、職務経歴書からコアな経験部分を抽出してまとめた上で、「なぜこの方の面接をあなたにアサインするのか」という理由も伝えています。
面接では具体的にどのようなことを質問されていますか?
転職理由や志望動機をお聞きしますが、転職理由に正解はありません。また、こちらから会社や組織、仕事内容についてお伝えした上で、スキル経験のみならず人物面についてもじっくりヒアリングします。面接でのやりとりを通じてその方の思考力や引き出しの多寡、スキルを活かす力、仕事への取組み意欲、他者との関係の取り方等を見極めていきます。仮に回答が少々的外れでも、その方の行動事実や考えたことを面接官が歩み寄って確認するようにしています。面接は一方通行ではなく、マッチングの場と捉えています。積極採用の背景もしっかりお伝えしますし、仕事のイメージを職種毎に用意していて、その方に合う職種を中心にご説明しています。
求める人物像についても教えていただけますか?
IT領域が好きで、今後もやっていきたいという方が良いですね。グループ全体は大企業と言われますが、私の部門は新組織のためスタートアップの面白さがある一方、まだ軌道に乗っていない。そのことにワクワクする方、挑戦したい方を求めています。それから、単一サービスに興味がある方よりも、グループ全体のIT戦略を考えていく役割を求めています。これらを理解した上で入社いただけるよう、選考段階で双方の期待値を合わせることが重要であり、入社後に「こんなはずではなかった」とならないようにプラス要素だけでなくあえてマイナス要素もお話しています。
最後に、この記事を読まれている候補者の方へメッセージをお願いします。
現在、働き方なども含めた各種変革項目を打ち出した「7Change」を進行中です。小売業としての現場とどう融合していくか等、この会社が持つDNAの良さは変えずにいかに新たな組織をつくっていくかを意識しています。当社は、本気になってセキュリティ強化と次世代IT戦略に取り組んでいます。そういう会社に自分も入りたいとジョインされた方が数名いらっしゃいます。当社にご興味があり、我々と一緒にグループIT戦略に関わっていきたいと思われる方はぜひ積極的にご応募ください。
インタビュアー / キャリアコンサルタント 棚澤 啓介
構成:神田 昭子
撮影:櫻井 健司
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。
AI・IoT技術などによる水処理インフラの省コスト化・長寿命化で、世界の「水不足」を解消するチャレンジを続けるFracta Leap株式会社。目下、水処理プラントの設計・運転の最適化に向けたプロダクト...
2019年10月にDX専任組織を発足し、全社横断のデジタルビジネス推進体制確立で注目を集めるNEC。生体認証や映像解析、データ分析等の先進的なAI技術と、情報通信技術のパイオニアとしてのアセットを基に...
設立30年を超え、ホームセンター業界1位の株式会社カインズ。DXが最も遅いと言われる小売業において、「デジタル戦略本部」の設立や「CAINZ INNOVATION HUB(カインズイノベーションハブ)...
「起業家と同じ船に乗り、共に立ち向かい、共に汗をかく」とのスタンスを掲げ、既存の投資家の枠からはみ出し、あらゆる面から事業成長を支える存在を目指すSTRIVE株式会社。アーリーステージのスタートアップ...
「社会の非合理を、ハックする。」をミッションに掲げ、全国2万社以上が登録するシェアNo.1のクラウド労務ソフト「SmartHR」を開発する株式会社SmartHR。複雑でアナログな人事労務をシンプルにす...