キャリアアップコラム vol.195
「らしくない」道をあえて選択するということ

最近、転職の意思決定場面に立ち会う中で、実感していることがあります。それは、第三者から見るとその人「らしくない」選択をあえてする方が意外と多い、ということです。 この「らしくない」とはどういうことか、具体例を挙げながらお話したいと思います。
 

30代の今だからこそ、怖くてもリスクを取ってでもチャレンジしたいことがある

Fさんは30代半ばの男性で、大手外資系企業1社でコーポレート系職種のご経験という真面目で優秀な方でした。グローバル経験を積むことができ、かつ優秀で魅力的なマネジメント層と仕事ができるG社にも強く惹かれていましたが、ギリギリまで悩んだ結果、同世代の仲間と一緒に新たな制度をつくりあげていける成長ベンチャーのH社(自己応募で進めていました)に入社を意思決定されました。正直なところ、私には意外な決断でした。Fさんが希望していたグローバル要素もH社には無い上に、性格的にも慎重でアグレッシブなタイプではない彼が、勢いのあるH社のカルチャーとマッチするイメージが持てなかったからです。Fさんに電話をすると、意思決定したにも関わらず声には元気が無く、それを指摘すると「今でも怖くてたまらないんですよ」とFさん。それでも、同世代の人たちが活躍する姿などをメディアで見るにつけ、自分も一緒にやってみたいという想いを強く抱いていたFさんは、30代半ばという今のタイミングだからこそチャレンジしてみたい、とリスクを取ってでもベンチャーに飛び込むことを決めたのです。私はG社の方がFさんに合っていると考えていましたが、Fさんの「らしくない」決断を尊重しようと思い、「決めたのならもうあとは振り切って頑張るだけですね」とお伝えしました。その後、Fさんが新しい環境で様々なギャップとも直面しただろうと思いますが、自身の決断を信じて頑張っていただきたいなと心から願っています。

傍から見ればその人らしくなくても、あえてイメージがつかない環境に賭けてみるという選択

Fさんのケースはほんの一例ですが、ある程度入社後の想像がつく、あるいは活躍イメージが持てる企業と、未知でどうなるかわからない企業の狭間で揺れた結果、よりイメージがつかないほうにリスクを取ってでもチャレンジするというケースをいくつか見てきました。そこに共通するのは、30代半ばくらいなど年齢的にチャレンジできる最後のタイミングという意識と、ベンチャーなどリスクもあるがこれから組織を大きくして行けるチャンスがあるという点、マネージャーなど早期に上のポジションを狙える、といった要素が挙げられます。冒頭で「らしくない」と表現したのは、新卒から大手企業1社で長らく経験を積んできた方が、初の転職でベンチャーに行くのはカルチャーやスピード面、求められる素質等ギャップが大きいことに加え、その方のキャラクター的にどちらがよりマッチするか、という面もあります。傍から見るとこちらの方が合うのではないか、と企業とその方の双方を知っている者としては思うわけですが、最終的に決断するのは当然ながらご本人です。

「らしくない」道を選ぶときは、自分自身を知り、覚悟を持って飛び込むこと

私は、「らしくない」転職を否定するものではありません。コンサルタントや周囲の意見も踏まえ、様々なギャップがあることも充分理解した上で覚悟を決められるのであれば、あえて「らしくない」道を選択することもありだと考えます。それは、リスクももちろんありますが、これまでとは全く異なるその方の新しい可能性が開ける道でもあるからです。重要なことは、まず自分自身を知り、どんな価値観を持っているのか、今回の転職で何を求めているのかを明確にすることです。

あなたにとって、「らしい」「らしくない」道とは何なのか、一度考えてみませんか?

(2018年5月20日)

今回の教訓&アドバイス

「らしくない」選択をすることも、己を知り、覚悟を持てるならOK。

リスクを取ってでもチャレンジしたいのか、転職の目的を明確にする。

コンサルタントや周囲の意見も聞いたうえで、最後は自身で決断を!

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
神田 昭子
日系大手グローバルメーカー、ベンチャーの経営幹部、事業会社のIT系ポジション(セールス、データサイエンティスト、企画職等)を主に担当しております。
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