キャリアアップコラム vol.130
選考基準

景気の減速・後退が懸念されていますが、私が主に担当していますIT業界・コンサルティング業界では中途採用が引き続き活況で、リーマンショック以降で最も採用ニーズが高まっています。
もちろん業界内で優劣がつき、企業ごとに状況は違っていますが、勝ち組企業はリーマンショック前の好景気時と並ぶほど積極的な採用を行っています。
しかし、選考基準についてはリーマンショック以前と現在で変化が見られます。

「いくらスキルが高くても、人物面のフィット感がなければ採用しません」
リーマンショック以降、この言葉を企業から聞くことが多くなりました。
以前は直近で想定しているプロジェクトに対応できる経験をお持ちの方、特定の技術・業務の経験、汎用性のある経験など、多くはスキル面を重視した採用でした。
こういう方がいれば活躍できるプロジェクトがあるだろう、何かしら貢献してもらえるだろう、など多くは目先の状況を重視しての採用でした。
そのため、スキル面でフィット感が高ければ、不合格になることはほとんどありませんでした。
しかし、現在はスキル面でのフィット感が高い方でも、最終段階で不合格となることが少なくありません。
キャラクターなどの人物面はもちろん、「なぜ当社を希望するのか」「当社でどんなことがしたいのか」「将来的にどのようなキャリアを考えているのか」など、志向面でのフィット感をスキル面同様に、あるいはそれ以上に重視して採用を行う企業が増えました。

その背景のひとつとして、企業側が採用責任を以前よりも強く考えていることがあります。
リーマンショック前は上述の通り志向よりもスキルを重視した採用を行っていたため、入社後にミスマッチが発覚して早期に転職を検討するケース、リーマンショック時の人員削減、景気が回復傾向になると優秀な社員が退職するなど、人材の流出が少なからずありました。
これらを経て優秀な人材の確保が重要課題となり、人材に対する考え方が変わってきているのだと思います。

某ITコンサルティング企業では経営陣と現場との距離を縮め、帰属意識の強化に取り組んでいます。また、長時間労働やメンタルケアなど現場の実態を経営陣とすり合わせ労働環境の改善につとめる企業も増えました。教育制度の強化を推進する企業や、以前は評判がよくなかった企業も現在では人にフォーカスした体制を作っているケースも多々あります。

これらを背景に、企業は応募者にも同じように会社・組織へのロイヤリティに重きを置き、人物・マインド面のフィット感を重視するようになりました。
企業が本気で人材に向き合う分、人材にも本気を求める。そのため、面接にあたって事前の企業研究や志望動機の明確化が以前よりも合否を左右するようになっているのです。

また、一方で企業を検討する際に、従来のイメージが強すぎることによって選択肢から外してしまい、可能性を逃してしまうことも起こっています。「以前に働いていた人から聞いた話」「ネット上の評判」など、数年前の情報を重視して今の実態を見ずに判断してしまう。
個人的には、火のないところに煙は立たたないと思っていますし、事実として、評判に近い企業もあります。ただ、現状を反映していない企業も多くあると感じています。周囲から集めた情報を参考にするのはもちろん有効な手段ですが、そこに左右されるのではなく、あくまでも直接自分自身の五感で感じた情報をもとに検討・判断することが大事だと考えます。
希望のキャリアを進むためのスキル・経験を身に付けていてもそのパスを掴むことができない。
最適な環境がそこにあるのに先入観から見過ごしてしまう。
ともに、もったいないと思います。最新の情報や視点などもお伝えし、ベストな意思決定の支援ができればと思いますので、是非お気軽にご相談ください。

(2013年5月5日)

今回の教訓&アドバイス

人材に対する考え方が変化した企業が多く、現状を理解するのが大事。

スキル・経験と同様に事前の企業研究、志望動機も重視される。

自分自身で確認・理解し、自分自身で検討・決断することが重要。

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
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