キャリアアップコラム vol.87
志望理由

面接で必ず聞かれる質問のひとつが「志望理由」。経済環境が激変してから最近の面接ではこの「志望理由」を企業はこれまでよりも一層重視する傾向にあります。基本的な質問ではありますが、面接の合否を左右する非常に重要なポイントです。

金融危機、経済状況の悪化をきっかけに企業の採用意欲は落ち込み、売り手市場から買い手市場へと逆転しました。しかし、採用を控えている企業が多くある一方で、現状を打破するため、または今後の成長のため良い人材を確保したいという企業の思いも依然として強くあります。ただしこれまでと違うところは、経験・スキル・能力といった点を重視した採用を行なっていた企業が、志望理由を選考基準として重視するようになったことです。

その理由のひとつとして、採用企業の減少により、1つの企業に応募者が集中するため、書類選考時の判断指標を増やさなくてはいけなくなったことが挙げられます。そこで、スキル・経験面に加えて志望理由をポイントにする企業が増えてきているのです。コンサルティング企業などでは、応募に際して志望動機書の提出を必須とする企業もあります。

また、企業が必要な人材の獲得をこれまで以上に本気で行うようになったという点も理由のひとつです。目先の人員補充ではなく、この先の活躍を見据えた、本当に必要な人材の獲得に集中しているということです。

「これまでスキル的に現場が欲しいという人材を採用してきましたが、今後は現場が欲しいといっても、弊社への志望理由に納得感の無い方は最終的に人事で不合格にします。」
これは、ある大手企業の採用担当者の話です。いくらスキルが高く即戦力の人材でも、なぜその企業を志望するのか、その企業でどのようなことをしたいのか、といった点が明確であり、納得できなければ採用しないという方針となったようです。
この企業は大手企業ということもあり、これまで安定感や離職率の低さ、充実した制度などを志望理由に挙げる方が多かったとのこと。また、会社についてもイメージで捉えている方が多く、HPにある内容すら充分に理解していない方も意外と多かったようです。「面接で質問してもHPを見れば解る内容だったり、そもそも質問すら無かったり。弊社での業務をイメージした質問ができない方は不合格です。」

確かに、以前はまず話を聞いてもらい、興味を持ってもらうところから始めるというスタンスで採用を行っていた企業も多くありました。この企業もそうでした。しかし、そのような進め方で入社された方の大半は、採用後も受身的なスタンスが強く、会社の活性化という面では物足りないという印象があったようです。このような企業は、これからも増えると思います。

入社後の活躍がイメージできるかどうか、会社の将来を担う人材となれるかどうか。採用数を絞っているからこそ、一人の採用をこれまで以上に本気で行うことができます。また、同様に候補者の本気度をこれまで以上に重視しています。本当に興味がある企業なら、その企業について十分に調べ、そこでのキャリアをしっかりイメージしているはず。しかし、事前の理解が不十分であれば、入社してもどのように活躍してもらえるかのイメージができない。イメージのすり合わせができなければ、お互いに判断ができないと企業は考えます。

「志望理由」が大事であり、基本的なことであることは言うまでもありません。ただ、自分をどう見せるかということへの意識が大きく、この基本的なことをおろそかにしがちではないでしょうか。何ができるかだけではなく、何がしたいか。候補者の思い、エネルギーを企業は重視しています。

(2012年9月25日)

今回の教訓&アドバイス

面接だけでなく、書類選考時から志望理由はジャッジのポイントになります。

事前の企業研究・理解の深さが、面接での言葉に信頼性・重みを与えます。

「志望理由=志望度」 思いの強弱がそのまま伝わります。

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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