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スローガン株式会社

公開日:2014.12.17

日本IBM出身の伊藤豊氏が20代の時に立ち上げたスローガン。伊藤氏が大企業に身を置いて抱いた問題意識をもとに、新たな産業を創出して日本を変えていくためのさまざまなチャレンジを繰り広げている。「人の可能性を引き出し、才能を最適に配置することで、新産業を創出し続ける」ことをミッションに掲げ、スタートアップ・ベンチャー企業などの新興成長企業と、優秀な学生をマッチングさせる事業を核に、最近ではベンチャーキャピタル事業やインキュベーション事業にも取り組み、他に例を見ないビジネスモデルを追求しながら、さらなる発展を続けている。

スローガン株式会社 代表取締役社長 伊藤豊氏

Contents

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成り立ち

大企業志向の優秀な学生の意識を変えなければ、日本は衰退する。

工藤

伊藤さんは東京大学を卒業後、日本IBMを経て起業されたとのことですが、まずはこのスローガンを設立された経緯を教えていただけますか。

伊藤

当初は起業しようという思いはまったくありませんでした。特に深い考えもなく「IT業界の大手だから」と日本IBMを就職先として選んだのですが、入社して気づいたのが、大企業というのはあまりに仕組み化されていて全体が見えないということ。そんな環境にフラストレーションを覚えていたのですが、3年目、状況を打開するため社内公募に手を挙げて、30名ほどの関連企業に出向したのです。 当然まだ完成されていない企業で、小さな組織なので全体を見渡して事業に関われましたし、トップとの距離も近い。社内で課題を見つければ自分から動いて解決していく。2年ほど在籍しましたが、そこで初めて主体的にビジネスをする経験を得て、非常にやりがいを感じました。

工藤

その出向先で味わった経験が、伊藤さんの意識を変えたわけですね。

伊藤

ええ。2万人の大企業と30名の小さな企業、その両方に身を置いて、やはり自分にとって面白いのは後者だと。ならば、そうした場をいつか自分で創るのもありだなと起業を意識するようになりました。とはいえ、IBMで成果を上げられないような人間が起業しても通用しないと思い、出向先から戻った年は懸命に仕事に打ち込んで社内で最も高いランクの評価を獲得することができ、それで起業に踏み切りました。

工藤

スローガンは新興成長企業への人材採用支援を手がけられていますが、起業にあたってこの事業を選ばれたのは、どのようなお考えからですか。

伊藤

出向先からIBMに戻った時に配属されたのがマーケティングだったのですが、そこは米国の本社から直接情報が入る部署でした。そこで米国側が「日本市場は今後拡大が見込めない」という経営判断をしていることを知り、それが日本人としてとても悔しかった。なぜ日本は停滞してしまったのか? それは、新しい事業を創り出そうとする若い人間が少ないからだ。若くて優秀な人材が、すでに出来上がった大企業ばかりに流れている現状を変えなければ、根本的な解決にならない。そんな思いから、このスローガンという企業を立ち上げたのです。

スローガン株式会社

事業内容

新興成長企業と学生の間に立って、泥臭くコミュニケーションを図る。

工藤

スローガンが手がける新興成長企業への採用支援事業には、どのような特徴があるのでしょうか。

伊藤

先ほど申しました通り、私どものビジネスの根底には、若くて優秀な人材が新しい産業を創ることに挑む流れを起こしたい、という思いがあります。そこでサービスを提供する対象を、新産業創出の可能性を秘めたスタートップ企業、ベンチャー企業に絞り、そこに本来であれば大企業に入社していたような優秀な学生をマッチングさせることにこだわってきました。

工藤

そうはいっても、ブランド志向の優秀な学生の価値観を変えるのは容易ではないと思います。どのようにして、スタートップ企業やベンチャー企業に彼らの意識を向けているのでしょうか。

伊藤

大手志向の学生の中にも、刺激を与えれば考え方が変わる人もいます。まずはそうした層に響くようなコンテンツを企画して提供しています。たとえば、私自身もそうなのですが、大手企業を経て起業に至った経営者を招き、キャリア論や今後有望なビジネスについて語っていただくようなセミナーを頻繁に開催し、そこに私どもがターゲットとする学生を動員しています。そしてその場で、新興成長企業に興味を持った学生と泥臭くコミュニケーションを図っていく。そうした対面での接触を大切にしています。一方で、おつきあいさせていただくクライアントは、経営者の方との面談などを通して、私たち自身が真に可能性があると判断した企業だけを厳選しています。 

工藤

ここまで事業が成長を遂げてきた要因は、どこにあるとお考えですか。

伊藤

やはり私たちのコンセプトと価値が学生と企業、双方に受け入れられているからだと思います。新興成長企業でキャリアを積むことに魅力を覚える学生にとっては、スローガンと付き合えば本当に面白い会社と出会える。また企業側も、私どもと付き合えば本当に優秀な学生が採れる。こうした評価が定着してきたことで、事業も軌道に乗ってきました。

工藤

ご自身はこの事業の意義を、どのような時にお感じになられますか。

伊藤

若い優秀な学生たちの人生を変えている、と実感することがよくあります。私たちが介在しなかったら、おそらく大企業に就職していた学生が、スタートアップ企業やベンチャー企業に進んだり、あるいは起業家になったケースもある。いまメディアで取り上げられて注目されている20代の起業家の中にも、私たちとの接点をきっかけに自分でビジネスを興す道を選んだ人もいますし、また支援している企業の中には、おつきあいを始めた時は社員が3人しかいなかったベンチャーが、私たちが優秀な人材を供給したことでわずか3年で上場に至ったことも。私どもがいなければおそらく成長カーブはもっと緩かった可能性もありますし、そうした場面では自らの存在意義を強く感じます。

スローガン株式会社

今後の展開・求める人材

採用支援だけではなく、自ら「投資」や「事業創造」も手がけていく。

工藤

今後の事業展開はどのようにお考えですか。

伊藤

これまで新興成長企業への採用支援で伸びてきましたが、私たちが真に追求しているのはこの事業のみを拡大することではありません。なぜ採用支援を手がけているのかといえば、優秀な人材を相応しい場所に配置して、新しい産業を創り続けるため。でなければ社会全体が沈んでしまう。私たちが掲げるミッションは「人の可能性を引き出し、才能を最適に配置することで、新産業を創出し続ける」ことであり、採用支援はそのためのひとつの手段に過ぎないのです。

工藤

では、採用支援業務に続いて、今後新たなチャレンジを繰り広げられていくのですね。

伊藤

ええ。若くて優秀な人材を新興成長企業に送り込むことは、かなり果たせる見通しが立ってきました。では、次に私たちがやるべきことは何か? それは、私たちが自らお客様と一緒に新しい産業を創り出し、世の中にイノベーションを超こすところまで関わっていくことではないかと。また、そもそも若くて優秀な人材が活躍するフィールドとしてのベンチャーの数もまだまだ圧倒的に足りないのが現状であり、自ら投資をすることでインキュベーションも担っていきたい。新興成長企業に対する“リクルーティング”“イノベーション”“インキュベーション”の3つを究めて、新しい産業を創出し続けるエコシステムをこの社会に構築することが、私たちの究極の目標。そして、このエコシステムを大きくしていくための人づくりとなる“教育”にも取り組んでいかなければならないと考えています。

工藤

具体的に何か新しい取り組みはスタートしているのでしょうか。

伊藤

起業家への支援事業として、2014年の7月より、株式会社Viling ホールディングスのベンチャーキャピタル会社 Viling Venture Partnersと共同でEdTech(教育×IT)分野特化型のシードアクセラレータプログラムをスタートしました。こうして私たちが投資育成する立場として起業を支援していく一方、私たち自身も投資先のビジネス拡大に積極的に関与していきたいと考えていますし、ゆくゆくは自らの手で新しいビジネスを創り出していきたいと思っています。

工藤

では、スローガンではいまどのような人材を求めていらっしゃるのでしょうか。

伊藤

私が望んでいるのは“知的ワイルド”な人です。知的であり、かつワイルドであること。わかりやすく言えば、優れたアイデアを思いつく頭の良さと、それを実現できると思い込むぐらいの頭のおかしさを併せ持っているということです(笑)。私たちが取り組んできたのは、世の中で難しいと言われてきたことです。選択肢の多い大手志向の優秀な人材を、敢えてベンチャーに意識を向けさせるというのは無理だろうと。でも、難しいからこそチャンスがある。簡単にできることなら、もう誰かがやっているだろうし、他の人にやってもらえばいい。他の人なら諦めてしまうようなことを、馬鹿みたいにやり続けてきたからブレイクスルーできた。不確実なものに対して耐性がある人、自分がよくわからないものと向き合った時にワクワクするような人が、私は好きですね。

スローガンの文化

理念に共感した人間が集い、真面目に誠実に正論をぶつけあう。執行役員 グループマネージャー 川野真太郎

工藤

川野さんは、スローガンがまだ社員数名の時に新卒で入社されたとのことですが、その経緯をお聞かせいただけますか。

川野

私はもともと天邪鬼なところがあって、他人と同じ選択をするのは嫌だと思うタイプです(笑)。就職活動では外資のコンサルティングファームなどに実際に訪問してみると、そこに集っていた学生の多くはそのファームに入ることをブランドのように捉えていて、出てくる話題も年収が云々というレベルで、せっかく優秀なのに自己中心的なものの見方をする人が多いように感じてしまい、興が冷めてしまった。そんな折に、スローガンが開催しているセミナーに参加して、代表の伊藤と話をする機会があったのですが、とても共感する部分がありました。伊藤はその時話していたのは「優秀な人は自分たちの才能が本当に必要とされている場を選ぶべきだ。仕組みが優れているから仕事が成り立つ場に身を埋めるのは、社会にとっても機会損失だ」と。まさにその通りだと思い、彼と一緒にこの仕事がしたいと入社を決意しました。

工藤

ご自身はスローガンの理念に共感されてご入社されたというわけですね。他の社員のみなさんも、そうした方が多いのでしょうか。

川野

ええ。理念に共感していない人間はひとりもいないと思います。この会社は、「個人がどうありたいか」よりも「社会をどう変えたいか」を議論の出発点とする姿勢がありますし、ただ手段を選ばず売上だけを伸ばそうとも思えば、それも十分に可能だったかもしれません。でも安易な方向に流れず、自らが関わる人からの信頼を第一に考え、社会に対する提供価値をストイックに追求しているのがスローガンらしさではないでしょうか。

工藤

川野さんからご覧になられて、スローガンの社風はどう捉えていらっしゃいますか。

川野

基本的にみな真面目で誠実です。採用基準として重視しているからだとも思いますが、あとは自分・自社の都合だけを優先したり、全体最適を欠いた視点ははっきりと指摘されます。「それは自己中だね」と。日頃の発言や行動についても、基本的な礼儀やマナーも含めて、至らないところがあれば周囲がそのたびに指摘する。伊藤もよく「遠慮はコストだ」と言っていますが、正しいと思ったことはきちんと発言する文化は今後メンバーが増えても社内に根付かせていきたいと思います。

工藤

では、最後にスローガンでキャリアを積む魅力について、ご自身のお考えをお聞かせください。

川野

ここは本当にいろんな経験が得られて、自分を高められる場だと思います。たとえばスタートアップ企業への採用支援というのは、人材採用を通じて結局は顧客の経営そのものに深く入り込んでいくことになりますので、企業の経営課題をリアルに解決できる力を養える仕事だと思います。また、今後は投資事業にも取り組んでいくので、ファイナンス周りの経験も積めるでしょうし、自社事業だけでなく投資先事業のマネジメントに関わっていくことで経営者としての経験を積むことができる機会も多く出てくるでしょう。私たちが掲げるミッションやビジョンを達成するためなら、そのアプローチはコンサルティングだろうと、投資だろうと、経営だろうと何でも良い。スローガンがこれから取り組もうとしているのは、前例のない本当に意義あるチャレンジだと思いますので、その世界観にみなさんもぜひ乗じていただきたいですね。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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