キャリアアップコラム vol.128
新興成長産業におけるキャリアの考え方

金融危機以降も順調な成長と拡大を見せるWEB・モバイルサービス業界。
経済インパクト的にも大きな存在感を見せています。
また成長途上産業であるが故、そこで働く人々は既存の成熟産業では味わえない強い遣り甲斐を享受すると同時に、新興産業特有の潜在的不安を抱える方が増えていることも実感することが多くなってきました。
今回はこのような新興産業におけるキャリアの考え方という点で知見者の方々のお話しを基にまとめさせて頂きました。

弊社はこれまで30代ビジネスリーダーのキャリア支援を専門領域として約20年に渡り多くの方々のサポートを行ってまいりましたが、重厚長大産業等、成熟産業に身を置く30代の方々からは、中長期のキャリアプランを前提にし、どこでそれを為すべきかといったご相談をこれまで多く受けてまいりました。
40、50代の先人達をロールモデルとしてそれぞれがキャリアゴールを明確にしやすい業界ならではのご相談テーマといえます。

一方ここ数年で急激な成長を見せる前述のWEB・モバイル業界。
同業界を構成する人員は20、30代の所謂若手が圧倒的シェアですが、ここに属する30代の方々から受ける相談テーマは上記とは異なり非常に多岐に渡ります。

「これからはどのような技術を身につけておくと有利か?」
「技術から管理へシフトしていくよう会社から要請を受けていますが、マネジメントに興味がありません。」

このような相談テーマの多様さから見えるもの。
それは同業界に潜む潜在的な不安、要するに「先が見えないことによる不安」が皆の根底にあることがわかります。
こうした中、同業界を牽引する数社の本部長、部長の方々と若手世代のキャリアについてディスカッションをさせて頂く機会がありました。
そこではこの業界に身を置くビジネスパーソンが持つべきキャリア観について、非常に示唆に富んだ意見交換がなされました。なかでも参考になる発言を抜粋しご紹介させて頂きます。
「成長著しかったスマホ向けサービスも既にレッドオーシャン。転職にせよ起業にせよ自分の身の置き所として確実なところを特定するのは益々難しくなっている。」

「業界全体でみると、blog、Facebook等によって世の中に発信を行う人、起業する人、最新技術を追いながらマネジメントを行う人など、多様なキャリアを実現する人がいて素晴らしいと感じる一方、会社の敷いたレールを走るだけの人で魅力的な人はいない。」

「ロールモデルとなる人が少ないという意見があるが、そもそもそういったモデルありきでキャリアをイメージする業界ではない。一人一人がこの先どうなるのかという意識を強くもち個々のキャリアを歩むべき。」

「技術の進歩で1人の技術者が出来ることが広がっている。裁量権も若手に付与される業界。であればモデルを探すのではなく、とにかく自分で考えることが重要。モチベーション高く、行動力のある人が面白い仕事を獲得する。そうでない人に未来はない業界。」

既存のキャリアレールがうっすらと敷かれている成熟産業とは異なり、世代毎のルール、慣習など存在せずとにかく個人が為すべきことを自身で考え、道を切り拓いていくべき産業であるということが今回のディスカッションでは語られました。

プランドハップンスタンス理論というキャリア構築上の考え方が、不確実な現代において主流となると言われ久しいですが、まさに現在のWEB・モバイル業界のように先の全く読めない産業において自らキャリアを切り拓くためには、同理論内にて展開される心構え(好奇心を持つ、楽観的に取り組む、リスクを取る、柔軟に対応する)があらためて非常に重要であると感じさせられました。

最後に、当該領域に身を置かれ潜在的に不安を覚えられている方々へディスカッション内で深く頷かせて頂いたコメントを教訓として送らせて頂きます。業界特性に応じたキャリア観をもつことでその不安がモチベーションへと転化されれば幸いです。

(2013年4月20日)

今回の教訓&アドバイス

成長産業におけるキャリアは指紋のようなもの。レールは無く個別で多様。

誰かの後を追う生き方ではなく、自分自身で生き方を考え、決めるべき。

自身の生きた証を創りあげる醍醐味を感じられる貴重で幸せな業界と考える。

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