キャリアアップコラム vol.51
面接の中の気になるコメント

前回のコラムで書きました「面接の中の気になる日本語」が思いのほか、好評でしたので、今回は「面接の中で気になるコメント」をお話してみたいと思います。私はコンサルタントとして候補者の方にお会いする一方、自社の採用面接も行っていますので、「面接官の本音」と言ったところでしょうか。

「コミュニケーション力に自信があります。」

お会いする営業系の方の殆どが自己PRにお書きになります。実際お会いしてみると単にお話好きだったり、押しが強かったりという印象の方が大半です。コミュニケーション力というのは聞く力、相手の聞きたいことに的確に答えてお話を発展させていく力ですので、そういう方は「プレゼンテーションが得意です」とか、「営業の押しは抜群に自信があります」と伝えたほうがいいでしょう。

「人に感謝される仕事がしたいです。」

とても共感できるコメントですが、ちょっと考えてみてください。人に感謝されない仕事をしたい人っていませんよね(笑)。質問の仕方にもよりますが、キャリアの志向や方向性など深いところをお聞きしたいときに、この答えだけではとても物足りなく、浅い印象を受けてしまいます。またどんな仕事でもだれかに感謝されているものなので、そういう感覚が鈍感な方なのかな、なんて思ってしまいます。もう少し自分なりに分解して自分の言葉で伝えたほうがいいですね。

「私は参謀タイプなので・・」

戦略立案が得意という意味ではなく、リーダータイプではないという意味でおっしゃるケースがあるようです。でも、私には分かりませんから、色々「参謀ぶり」をお尋ねするのですが、的を射ていない会話が続いてしまって面接が沈滞してしまいます。このようなケースでは、「前面にでるよりも後方支援的な仕事の方が得意です」。とか、「No1よりNo2のポジションの方が力が発揮できるようです」。などと言ったほうが伝わるのではないかと思います。

「~に昔から興味があったので・・」

例えば女性で「昔からインテリアに興味があったので・・・」と住宅メーカーかなにかの面接で志望理由としてお話になる方がいらっしゃいます。興味があって勉強をしていたとか一定レベル以上の造詣があればいいのですが、普通に好きなレベルなのにそうおっしゃる方が意外に多いのです。聞き手としては、女性でインテリアに興味ない人のほうが少ないよな、なんて醒めて聞いていることもあるので、あまりうかつに話さないほうがいいでしょう。

「人と接することが好きで・・」

会社は社会ですので、人と接しないと仕事は成り立ちません。それが好き、苦手でないことはありがたいのですが、あらためて話すには質問にもよりますがあまりにも表面的だと思います。接してどうなるのが好きなのか、人と関わって何が生まれることがうれしいのか、もう少し掘り下げて考えたほうがいいですね。

いずれも、自分自身の強みや弱み、志向や企業への志望動機の分析不足で、自分の言葉になっていないことが原因です。一方で自分自身のことは中々分からず、しっくりくる言葉にするのはとても苦労するものです。自分の言葉をみつける一つの方法として、職務経歴書を書きながら今までのことを思い起こしたり、応募企業への志望動機や将来のことについてじっくり考えて書き出してみたりするという方法があります。また私たちのようなキャリアコンサルタントとの会話を通じて発見するという方法もありますので、一度ためされてみてはいかがでしょうか。(今回は営業モードになってしまいました。(笑))

(2012年5月20日)

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
丸山 貴宏
大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 プロフィールをみる
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