キャリアアップコラム vol.197
年収ダウンの転職は失敗?

転職によって現職で抱えていた不満を解消し、やりたい仕事や環境等を手に入れることができて、なおかつ年収もアップ。これは理想的な転職成功事例と言って良いかもしれませんね。転職市場が活況である昨今、このようなケースは決して珍しくなく、実際に我々がお手伝いしている中でも多くの方々が年収アップ転職を実現されています。一方で、働く環境や仕事内容などは希望に合致しているものの、現年収よりもダウンした、ないしは希望金額に届かなかった(現状維持程度に落ち着いた)、といった転職のケースももちろんあります。しかもその割合は年収アップ転職のケースよりも高い数値を示しています。
 

年収ダウンのケースって?

では、年収ダウンの転職をしてきた方々はご自身の転職を成功・失敗のどちらと捉えているのでしょうか。たしかに、転職のテーマに「年収アップ」を何よりも1番に掲げていた方は失敗と捉えるかもしれません。しかし、世の中の「転職ノウハウ本」にあるような、年収アップは転職成功で年収ダウンは転職失敗、という図式が全ての方に当てはまる訳ではありません。実際に弊社を介して転職された方々のほとんどは、ありがたいことに転職に満足され、年収ダウンでもそれぞれの転職を「成功」とお考えいただいているようです。

年収ダウンでも転職成功?

年収がダウンしたにも拘らず転職は成功したとポジティブに捉えている方々の多くは、転職によって「やりたいこと(できなかったこと)ができること」をより価値のあるものと考え、新天地でのキャリアに大きな魅力と可能性を見出してワクワクしています。この「やりたいことができること」が指すのはまさしく十人十色。大きくいくつかに分けると、例えば、裁量が持てる、マネジメントができる、経営幹部になるチャンスがある、IPOのチャンスがある、といった「ポジション」を意識していることもあれば、これまでの経験がどこまで通用するか試すことができる、タフな環境で自身にストレッチをかける、キャリアの幅を広げられる、といった「成長」を意識していることなどが挙げられます。

その他にも大きなターニングポイントとなるような出会い・気付きがあったとき、例えば「人生を賭けてでも取り組みたいテーマと出会ったとき」や「この人と一緒に働きたい!!と心の底から思えるような経営者・上司・同僚と出会ったとき」、そして「人生の中で大切にしていること(家族や趣味など)に時間を使いたいと気付いたとき」などは、年収についてはほぼ度外視で転職を決断されています。

年収ダウンでも入社後活躍する人とは?

結論、年収ダウン=転職失敗と安易に決定づけるべきではなく、自身の転職をどう捉えるかが大事のようです。ちなみに、入口(入社時)の年収に過度な価値を置かない方は、入社後に活躍していることが圧倒的に多いです。それには色々な理由が考えられますが、「やりたいことができる」ことを優先して決断しているので、日々やりがいを感じながら仕事に取り組んでいることが、結果として成果・年収アップに繋がっているようです。逆に、入口でお金に強く拘った方が入社後に大活躍しているといった話は残念ながらをあまり耳にしません。周囲の期待は高くなり、相当なプレッシャーを自ら背負うことになりますし、もしかすると年収アップを優先した決断は、入社時点ですでに目的をクリアしてしまっているのでモチベーションが続きにくいのかもしれません。

最後になりますが、決して年収ダウンを推奨している訳ではありません(笑)。あくまでそれぞれの方にとってベストと言えるような転職をしていただきたいと思っています。そしてベストな決断をするにあたっては、入社時の一時の年収ダウンを一概に失敗と捉えず、転職によって叶えたいものを最優先にして決断し、楽しくて仕方がない日々を送って欲しいと思っています。

(2018年7月20日)

今回の教訓&アドバイス

年収アップだけが転職成功ではない

自身にとって転職で得たいものは何か明確にする

入社時の年収に過度に拘らず、入社後何ができるのかを大切にする

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
武田 直人
CXOをはじめ、経営幹部から事業責任者、そしてPdMなど、企業の「要」となるポジションへの転職支援が強み。注目のスタートアップから大手企業まで、Web・インターネットサービス業界が最も得意とする領域。
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