キャリアアップコラム vol.185
2017年採用市場動向/IT・コンサルティング業界

過去最高水準の活況な転職市場

2017年度も、引き続き転職市場は活況です。2017年4月の有効求人倍率は1.48倍と、バブル期を超え、高度経済成長期以来の高水準となりました。
私がメインに担当しておりますIT・コンサルティング業界の採用状況も、非常に活発な状況が続いております。昨年以上の採用計画を策定する企業も多く、これまでダイレクトソーシングやリファーラルリクルーティングで採用を行っていた企業からの依頼も増えました。業界全体で採用意欲は依然として高く、各社が優秀な人材の獲得に対してしのぎを削る状況が続いております。
 
このような状況の中、採用の現場では数年前と比較していくつかの変化が出てきました。そのうちのひとつに、決定者の年齢層が上がってきたことがあります。弊社での決定実績としても平均年齢が上がっていますが、企業側のニーズや考え方も変わってきたと感じます。
 

求められる人材は?

少し前まで、「転職35歳限界説」といった話がありましたが、30代後半はもちろん、40代に対するニーズも高く、経験・スキルによっては50代でも歓迎といった企業も増えてきました。年齢を絞っていては、採用計画で必要なだけの良い人材がなかなか採用できないといった切実な理由が大きいのですが、それとあわせて、専門性の高い人材やマネジメントがしっかりできる人材に対するニーズが強いというのも理由のひとつにございます。
 
専門性では、やはりERPのニーズは高く、特に、SAPのスキルが高い方に対するニーズは根強いものがあります。実際に、経験・スキルによって50代でも歓迎という企業からの声や採用実績が増えております。他にも、SCMやPLM、CRMなどの業務領域や、クラウド、デジタルなどの技術領域に対する専門性の高い方に対しても企業側のニーズは高く、年齢を問わずに採用する動きが目立つようになりました。セキュリティ領域もそのひとつです。最近ではCSIRTの立ち上げ・構築を推進した40代後半の方が、複数のオファーを獲りました。クロスボーダーM&Aの実績・経験が豊富な方についても、非常にニーズが高いように感じます。
また、製造・通信・流通・金融など、特定業界に対する豊富な経験・ネットワークをお持ちの方に対するニーズも高いです。入社いただくことにより、顧客やビジネスを早期に自社へ持って来ることができる方に対しても、年齢を問わず企業は積極的に採用へ動いています。
 
マネジメントという点では、いわゆる管理・監督者というマネジメントではなく、プレイングマネージャーとしてのマネジメントができる方を企業は求めています。現在、顧客からプロジェクトの依頼はあるものの、人材が不足しており請けることができない企業が多くあります。特に、プロジェクトをしっかりまわすことができる人材不足が課題の企業が少なくありません。そのため、必要に応じて現場に出て、プレーヤーとして動くことができるプレイングマネージャーへのニーズが高まっています。裏を返せば、現場から離れ、メンバーを動かすことでしかマネジメントできない管理職専任タイプへのニーズは少ないということも言えます。

市場のトレンドをキャッチしたスキルアップを意識する

この傾向は、今後もしばらく続くと思います。市場のトレンドにフィットしたスキル・経験、売り上げに直結したネットワークやノウハウを持つことにより、年齢に関係なく市場で自分のポジションを創ることが可能です。目の前の仕事(顧客)にしっかりと向き合い、信頼を積み重ねるのとあわせて、技術やビジネス、ソリューションなど市場のトレンドをキャッチし、最前線でスキルを高めていくことが重要です。
 
今の自分について、そして今後のトレンドについて定期的に市場に触れることにより、確認するのもキャリアを考えるうえで大事ですね。是非、お気軽にご相談ください。
 
(2017年7月20日)

今回の教訓&アドバイス

専門性・スキルにより、決定者の年齢層は高くなっている

採用ニーズの高いマネジメント人材はプレイングマネージャー

トレンドを意識したスキルアップにより、市場でポジションを創ることが可能

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
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