キャリアアップコラム vol.149
ITエンジニアのキャリアアップ

私は、IT・コンサルティング業界のクライアント企業を多く担当していることもあり、その分野の方々のキャリア支援に携わる機会が一番多いです。そこで今回は、比較的初期のキャリアステージにいらっしゃるITエンジニアの方々からよく聞かれる話をご紹介しようと思います。

若手の方を中心に良く聞かれる質問のひとつが「転職・キャリアアップに有効な資格はなんですか?」です。この資格を取れば「転職に有利」「年収UPの転職が確実」などの回答を期待されるのですが、答えは「特にありません」です。
 

確かに、一部の国家資格やベンダー資格など、スキルの根拠として有効なものもあります。資格手当がある企業では、資格取得によって収入が増えるでしょう。ただ、転職の場面では、資格が大きなアドバンテージになることはありません(一部の派遣型企業などは違うかもしれませんが)。
重視されるのは実務経験です。実績を細かく掘り下げて確認し、「何ができるか」を企業は評価します。資格があっても、実務能力に「?」がつけばもちろん不合格。「資格をとってから転職を」という方もいらっしゃいますが、「SE → ITコンサルタント」のケースをはじめ、キャリアをシフトする際はその時間がもったいなく、すぐに転職するのが有利だということも少なくありません。もちろん、資格を否定するつもりはないのですが、一番大事なのは、どんな環境でも目的意識を持って日々の業務に取り組み、しっかりと実績を積むことです。
 
マネジメントとスペシャリストのどちらを選択すべきかといった相談も、20代後半~30代に入ったあたりの方々からよく受けます。確かに、今後のキャリアの方向を決める大事な選択ですね。以前は「PG → SE → PL・PM → 組織マネジメント」といったキャリアパスが一般的で、このラインにのらなければ評価されにくい = 昇給・昇格が難しいといった組織が多かったと思います。

ただ、現在はマネジメントパスだけでなく、スペシャリスト志向の方もバリューを高めることができるよう、専門性を発揮することで評価されるエキスパートパスといった制度を設ける組織も増えてきました。スペシャリスト志向の方で現状に不満・不安を感じている方は、このような企業へ転職してストレスなく頑張るのもひとつの選択肢です。技術の多様化がキャリアの多様化へとつながり、エンジニアのキャリアパスも増えています。

 
また、どちらのタイプの方にもお話しているのが、技術とビジネスの両視点を持ってシステムを考えることがキャリアアップに不可欠ということです。企業の成長にITは必須であり、もはや経営とITは切り離せません。ただ、言うまでもなくシステム開発の目的は作ることではなく利益創出が目的であり、ITはこれを実現するためのツールです。もちろん、実現のために常に新しい技術を取り入れることも必要です。マネジメント職であってもプレイヤーとしての動きがより求められる今、常にアンテナを張ってキャッチアップする動きは欠かせません。
 
ただ、技術力だけでバリューを高めていける「スーパーエンジニア」はごく一部。その他多くのエンジニアは、技術だけでは頭打ちになってしまうのが現状です。マネジメント・スペシャリスト問わず、様々な視点から利益を生み出すためのシステムを考え、実現することができるかどうかがエンジニアとしてのバリューを高め、キャリアアップにつながるのです。今後、この傾向はますます強くなると思います。
 
他にもミドルクラスの方々から良く伺う話や、各ステージでキャリアアップに必要な経験・スキル、取り組みなど、続きはまたの機会にご紹介できればと思います。また、お考えや思いなど個々にお持ちのものがあると思いますので、興味・関心がある方は是非お気軽に相談して下さい。
 
(2014年6月20日)

今回の教訓&アドバイス

大事なのは実務経験。日々、目的意識を持って業務に取り組むことが重要

キャリアアップ、バリューアップには技術とビジネスの両視点が必要

キャリアパスも多様化していますので、是非お気軽にご相談下さい

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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