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Turning Point 転機をチャンスに変えた瞬間~ビジネスの現場から~

「他人の評価に囚われない。 「しなければならないこと」ではなく、 「したいこと」を優先しよう。 : GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 チーフ・マーケティング・オフィサー 伊藤 久美氏 「他人の評価に囚われない。「しなければならないこと」ではなく、「したいこと」を優先しよう。 : GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 チーフ・マーケティング・オフィサー 伊藤 久美氏

現在、GEヘルスケア・ジャパンのマーケティングを統括するチーフ・マーケティング・オフィサーとして活躍している伊藤久美氏。伊藤氏は、学生時代から現在に至るまで、実に波乱万丈なキャリアを送ってきた。ソニーでマーケティングに携わり、いったん退職して専業主婦になり、そこから復職してIBMでのコンサルタント、米国本社勤務を経て、いまのポジションに就いている。そんな伊藤氏の生き方に迫ってみた。
GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 チーフ・マーケティング・オフィサー 伊藤 久美氏

伊藤 久美氏

ソニー株式会社にて経営企画、マーケティング業務に従事した後、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。戦略コンサルティング部門にて新規事業やマーケティングなどを中心とするイノベーション・マネジメント・コンサルティング部門を担当。日本および海外の企業のコンサルテーションを実施。米国本社の経営戦略部門にディレクターとして赴任し、帰国後はソフトウェア事業部門、ビジネス開発部門などを経て、2014 年1 月よりGE ヘルスケア・ジャパン株式会社のチーフ・マーケティング・オフィサーに就任。企業、大学などに対してイノベーション戦略、グローバル人材、ダイバーシティ、キャリアなどをテーマとした講演多数。 著作に「ものコトづくり」(共著 日経BP 社)「カリスマが消えた夏―成長戦略を導く7つのイノベーションシート」(共著 日経BP 社)がある。

ジャズシンガーを志した学生時代。ソニーに入社したのは、まったくの縁。

伊藤さんはこれまで、ソニー、日本IBM、そしてGEヘルスケア・ジャパンと名だたるグローバル企業でマーケティングやコンサルティングを経験されていらっしゃいますが、こうしたキャリアを学生時代から志向されてらっしゃったのでしょうか。
いえ、まったく(笑)。私は小さい頃から本がとても好きで、高校時代はミステリー作家になろうと思っていました。だから大学に進んだら、ミステリー研究会に入って作家になる準備をしようなどと考えていて……大学も簡単に入れるほうがいいと推薦入学を希望しました。何を学ぼうかと考えた時、フィールドワークが面白そうだと社会学に興味を持ち、社会学が専攻できる学部に学校推薦があったので応募したところ、優秀な友人がすでにその枠を取ってしまっていて、あえなく断念。それで、同じ大学で似たような名前の「社会工学」というのを見つけて、じゃあここにしようと志望したんですね。でも入学してみると、イメージしていた学問とはまったく違っていて、しかもその大学にはミステリー研究会もなかった。ちゃんと事前に調べておけばいいものを、本当に軽率で(笑)。それでしかたがないのでジャズ研に入ったんです。歌も好きだったので、人前で歌を歌えたら楽しいだろうなと。結局、大学時代は歌に熱中して、都内のライブハウスにも出演するようになり、大学ではサークルに入り浸りでした。多変量解析とか社会調査技法とか、面白そうな授業だけ出席していました。
そうした学生時代を過ごされた伊藤さんが、ソニーを就職先として選んだのはどのような理由からですか
ジャズシンガーとしての将来ばかり考えていて、就職することはまったく考えていなかったんです。それで周りの方々に相談したところ、「プロになったら好きじゃない歌も歌わなければならない。覚悟がいるよ」とおっしゃる方もいれば、「新卒というカードは日本で最強なので、使わない手はない」という声も。でも私がいちばん納得できたのは、「ジャズを歌うのは夜なんだから、昼は暇でしょ。暇だから何かすれば」という意見。なるほど、と一社だけ受験することにしたんです。そこに受かったら、ご縁だと思って入社しよう。落ちたら歌って暮らそう。そう割り切ってソニーを受けたら、意外にも採用になって。
GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 チーフ・マーケティング・オフィサー 伊藤 久美氏

何かやりたい仕事があってソニーを志望した、というわけではないのですね。
ええ、本当にたまたまなんです。私がソニーに入社したのは、ちょうど男女雇用機会均等法が施行された直後で、いろんな人材を採ろうということで私も採用されたのだと思いますが、実はソニーはそれまで大卒女子は海外事業要員として英語が堪能な人材しか採用していなくて、私はその部門では英語が話せない初の大卒女性社員だったんですね。後でうかがった話によると、新人の配属先を決める会議でも私は余りものだったようで、しょうがないので経営企画の部長が引き取ってくれて……でもその部長は本当に良い人で、配属になると「ここにある本は何でも読んでいいぞ」と鷹揚に私を迎えてくれました。もともと本は大好きでしたから、経営関連の本を読み漁っているうちにマーケティングに興味を持ち、自分でも実践してみたいと。それで、需要予測とかユーザー調査をやりたいと部長に訴えると、「どうぞやりたまえ」とどんどんチャンスを与えてくれたんですね。たとえば、市販の商品のパッケージデザインなども多変量解析の手法などを使って「ユーザーに受けるデザインとは何か」を導き出したり、自由にやらせてもらえたので仕事はとても楽しかったです。ただ、海外拠点とやりとりする機会もあったものの英語からはずっと逃げていて、5年ほどは何とかそれでやり過ごしたのですが、さすがにこのままではまずいと、それから2年間懸命に勉強しました。そして、マーケティングに本格的に携わりたいと、希望を出して経営企画からマーケティング部門に異動させてもらったのです。