面接官の本音 Vol.69
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「成功率3割未満」―。ある調査で判明した、日本のシステム開発プロジェクトの実情だ。この状況を打破すべく、今、新たな取組みが注目を集めている。「PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」―プロジェクト・リーダーの意思決定や業務を支援し、プロジェクト運営を円滑にサポートするための支援組織だ。ベンダー間の調整や会議のファシリテーション、事務作業のサポートなど、幅広い業務を請け負い、プロジェクト成功に貢献する。多角化、グローバル化に伴い、プロジェクトの難易度が年々あがっている現在、その需要はさらに高まっている。今回は日本でのPMOの先駆けである同社の副社長、田口氏に求める人材について、お話しを伺った。
- 上條
- 日本でも先駆けてPMOを手掛けていらっしゃる御社で、現在、求められているのはどういった人材でしょうか?
- 田口
- プロジェクトを成功へ導く役割として、調整能力、コミュニケーション力、論理性、さらに様々な場面に遭遇しますので、ストレスに対して強い方、そして気配り、心配りができるといった特性は重視しています。またスキル面でいえば、100名以上、1年~2年にわたるビックプロジェクトに参画、ないしはPM経験をしていることを求めています。
- 上條
- 対人能力の高さに加え、現場での実践経験が求められるわけですね。
- 田口
- そうですね。この仕事は“ナンバー1のサポート役”です。裏方となって、プロジェクトの成功に寄与する様々な支援を行います。その場合、実際にPM経験がある方は「これがあれば助かったのにな」「ここを切実に悩んでいた」という経験知が、現場では大いに生かされます。また、開発に参加していたエンジニアの立場から「こうしてくれたらスムーズに進むのに」と感じていたことを実践し、プロジェクト推進のサポートを行うこともあります。いずれの場合も、リーダーの悩みを察し、プロジェクト全体を広い視野で見つめてソリューションを提供していくことが重要です。そういう意味で、実践経験の中で、常に問題意識と向上心を持って取り組む方と一緒に仕事がしたいと思っています。
- 上條
- 実際にどのようなステップで採用選考を行なっていらっしゃるのですか?
- 田口
- 書類選考の後、4回の面接を経て、ご本人の資質を見ていきます。1次面接では私から、PMOについて、当社の事業概要などご説明させて頂いた上で、面接へと進みます。選考側はマネージャー以上の社員で一緒に働く立場の人間があたります。1次から3次面接の段階まで2名以上の社員が選考にあたり、最終的に社長面接で合否が決まります。
- 上條
- 採用選考も、時間をかけて多角的に、その人を見ることを大切にされているのですね。
- 田口
- はい。現場での気配りや、裏方としての動きなど、レジュメの経歴には現れない部分を見たい、と思っています。また、100名以上のメンバーをまとめていく過程には、信念に基づいて、改善点をズバッと指摘をしたり、嫌われ役を覚悟する場面もあります。そういった時に物怖じせずに堂々と伝えられる人かどうかも見ています。ズバッと指摘した後、会議後に個別にフォローしたり、場所を変えてコミュニケーションを図ったりと、臨機応変な対応できるかどうかも、経験談をお伺いしながら聞いていきます。もちろん、その中で、具体的なプロジェクト管理ノウハウや工夫などもお伺いします。大切なのはプロジェクトの“体験”ではなく、それが“再現性のある経験”になっているかどうか。その点を判断していきます。
- 上條
- PMOの仕事は幅広いですが、コンサルティング出身、SE出身とそれぞれのキャリアの方に活躍できるフィールドがあるのでしょうか。
- 田口
- はい。プロジェクトもフェーズごとに分かれていますので、設計フェーズはコンサル出身の方がその力を発揮されますし、SE出身の方はテストフェーズに強い、等の得意領域があります。ローテーションもありますが、いずれの経験者の場合でも、リーダークラスのコンサルタントになれる方を求めています。
- 上條
- 実際に御社で活躍されている方には、どういった方が多いですか?
- 田口
- 広い視野で物事を見つめ、細かな気配りができる人が活躍しています。そういった配慮は細部にも表れますね。たとえば、議事録担当がいない場合でも、会議後に率先して決定事項を関係者にメールして意思疎通を図ったり、冬のインフルエンザ流行期には空気清浄機を導入するなど、ソフト・ハードの両面でプロジェクトがスムーズに進行するように気遣いができるかどうか、といった点です。
- 上條
- 現在も積極的にコンサルタントの採用を展開されていますが、今後の展望について、お聞かせ下さい。
- 田口
- まずは、PMOの概念を広く伝え、日本におけるPMOのリーディングカンパニーとして市場を牽引し、社会インフラへと広げていきたいと思います。2000年以降、日本にも導入されているプロジェクトマネジメントの概念は、アメリカのPMBOKと呼ばれる知識体系が源流で、日本の風土に馴染まない部分もあります。私たちは現場での経験に基づき、「計画に対しての柔軟性」「トップダウンとボトムアップの融合」「現場主義」といった日本的経営の良さを活かし、日本の風土にあったPMOを開発し、“日本発のマネジメント”として世界へ広げていきたいと考えています。
- 上條
- 最後に、御社に興味をもたれた方へのメッセージをお願いします。
- 田口
- PMOを知ると「実は、こういう仕事がやりたかった」とおっしゃる志望者の方も多くいらっしゃいます。これまでシステム業界になかった新たなキャリアパスが生まれたことによって、新たな可能性が開けてくると思います。志望される方は、ぜひレジュメをもう一度読み返して頂きたいですね。進捗管理やルールの導入、品質管理など、PLやPM経験者であれば当たり前すぎて書かない部分にこそ、私たちが求める経験知があるのです。今期も10名以上は採用したいと考えていますが、PMOの市場を開拓し、日本発のマネジメントを広げていく活動に共感し、高い志を持っている方と、ぜひ一緒に仕事をしていきたいと思います。
構成/竹内路子








