TOPインタビュー   ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社)

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社)

公開日:2016.09.06

2012年に創業し、メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「Factelier(ファクトリエ)」を立ち上げたライフスタイルアクセント。「日本の工場(ファクトリー)から世界一流ブランドを作る」という大きなビジョンを掲げ、最近メディアにもたびたび取り上げられている注目企業です。「メイドインジャパンを守り、工場と消費者を正しい価値価格でつなぐ」をコンセプトに、世界レベルの技術を持った国内のアパレル工場と直接提携し、オリジナルデザインの商品をECで提供しています。

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社) 代表取締役 山田敏夫氏

Contents

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント)求人情報非公開のためエントリーして確認する

成り立ち

激減するアパレル業界の「メイドインジャパン」。その危機感から起業。

工藤

山田さんはライフスタイルアクセントを創業、「Factelier(ファクトリエ)」というメイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」を立ち上げ、同名のECサイトを展開されています。まずはこのビジネスを立ち上げようと思われたきっかけを教えていただけますか。

山田

私の実家は、熊本市内で100年前から商売を営んできた婦人服店で、幼い頃から日本製の高い品質の洋服に囲まれて暮らしてきました。それがやはり原体験として大きいですね。そしてもうひとつ、起業を志す大きなきっかけとなったのが、大学時代のフランス留学の経験です。現地ではGUCCIのパリ店で働く機会を得たのですが、そこで知り合った人たちから『日本の良いブランドって何?』と聞かれたことがあったんです。私は、たとえば世界で通用しているファッションブランドがいくつもあるよと答えたのですが、彼らは『そうしたブランドは自社で工房を持って職人が作っているの?』と聞かれました。欧州のラグジュアリーブランドはどこも素晴らしい工房を持っています。HERMESなどはひとつのバッグをひとりの職人が丸縫いし、その職人の印まで記されています。一方、その時私が身につけていた国内ブランドのアパレル製品は、実はどれも日本製ではなかった。日本の有名アパレルブランドは、大量生産・低価格化の波に押され、そうした工房・工場や職人を自社できちんと抱えているというところはほとんどなかったんです。すると彼らから『日本には本物のブランドはないんだね』と指摘されて……それがショックだったんですね。

工藤

ブランドに対する考え方が、ヨーロッパの人たちは根本的に違うんですね。

山田

そうなんです。私は当時、ブランドというのはマーケティングやプロモーションなどによって築かれていくものだと思っていたのですが、それは国としての歴史が浅く、ブランドを急に作らなくてはいけなかったアメリカ流のやり方。ヨーロッパで脈々と培われてきた職人文化の中で生きている彼らは、もっと純粋で、ブランドの価値の源泉は「ものづくり」にあると考えている。だから、いくら世界で通用しているアパレルがあると言っても、自ら「ものづくり」をしていない以上、それは本物のブランドではないと。そして「日本はせっかく歴史もあり、我々と同じように『ものづくり』の文化を大切にしている国ではないのか?」と問われて、深く考えさせられたんですね。

工藤

確かに「メイドインジャパン」は高品質の代名詞でしたが、いまでは国内ブランドのアパレル製品のほとんどが、アジアを中心とした外国製になっています。

山田

コスト削減を主目的とするマーケティング志向でビジネスをやれば、やはりそうなってしまいます。お客様が望むことを徹底的にヒアリングし、できるだけ安く作り、たくさん売って儲けるというのがマーケティングであり、コストを抑えるために海外で生産せざるを得ない。結果、アパレル製品における「メイドインジャパン」の国産比率は、25年前までは50%を超えていたのに、現在では約3%以下にまで激減しています。果たしてこのままでいいのかと。実は日本国内には、海外の有名ブランドから直接発注が寄せられるような、高度な織物や縫製の技術を持つアパレル工場が全国各地に点在しているんです。そうした、世界に誇る「メイドインジャパン」が存亡の危機に瀕している。私自身、小さい頃から日本製の質の良い洋服に触れて暮らしてきたこともあって、「メイドインジャパン」が失われてしまうこの状況を何とかしたいという思いが強く、いつかは「メイドインジャパン」で世界が認める本物のブランドを創りたいと。

工藤

山田さんのそうした高い志から生まれたのが、この「Factelier(ファクトリエ)」なのですね。

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社)

事業内容

「作り手」である工場と「使い手」である消費者を、ダイレクトに繋ぐ。

工藤

世界一流の「メイドインジャパン」のブランドを創るために、山田さんは「Factelier(ファクトリエ)」を立ち上げられたとのことですが、具体的にはどのようなビジネスモデルなのでしょうか。

山田

「作り手」の工場と「使い手」の消費者をダイレクトに、そしてフェアに繋ぐということです。 というのも、特にアパレル業界は顕著なのですが、工場で商品が生産されて店頭に並ぶまでには商社や卸などの中間業者が介在しています。そのためメーカーがマーケティングを強化して「お客様が望んでいるから」と価格を下げようとすれば、しわ寄せは工場にいくことになります。工場は過剰なコスト削減が強いられ、結果、経営難に陥って倒産や廃業が相次いでいるのが現状です。そうした状況のなか、優れた技術を持つ国内の工場が存続していくためには、当たり前のことですが、しっかりと売上や利益を確保していかなければならない。そこで我々は中間業者を完全に排除し、「作り手」の工場と「使い手」の消費者をダイレクトに繋ぐことで、高品質なファクトリーブランドを適正価格で提供できる仕組みを構築しました。ダイレクトにつなぐということを実現するのがECサイトだったのです。流通構造をシンプルにして中間コストを省いたことで、通常の流通を通した場合であれば2~3万円の高級品を1万円でお客様にご提供でき、さらに工場自らが価格を決めるので、工場にとってもファクトリエで1万円で販売するほうが多くの利益を確保することができる環境を実現しました。工場には適正な利益を、お客様には適正な価格で最高品質の商品をご提供する。それが我々の掲げる理念です。

工藤

「Factelier(ファクトリエ)」でファクトリーブランドを販売する工場は、どのようにして開拓されてこられたのですか。

山田

国内のすべての工場が、「メイドインジャパン」にふさわしい高い技術を持っているわけではありません。私はこれまで全国500以上の工場に直接訪問し、世界で戦える技術や誇りを持っていると判断した、まさに一流の工場だけと提携しています。この「Factelier(ファクトリエ)」を世界が認める本物のブランドにするために、我々は100年先を見据えています。ですから、これから100年間、一緒に成長していけるパートナー、その心意気を持ったパートナーの方々とおつきあいしたい。我々は当面の目標として、2020年までにいくら(※売上非公開)という数字を掲げていますが、これはいま取引している工場が無理して赤字になるような条件のOEMを受けなくても自立できるためには、この売り上げ規模が必要だということ。「メイドインジャパン」を存続させていくために、最低限、我々が提携した工場は絶対に守り抜きたいと思っています。

工藤

「作り手」と「使い手」をダイレクトにつないでいることが、御社が展開する「Factelier(ファクトリエ)」のオリジナリティであり大きな優位性なのですね。

山田

ええ。それが従来のマーケットイン型のブランドや、マーケットプレイス型のアパレルサイトとは異なる点であり、我々の大きな強みです。我々のビジネスモデルでは、無理をして生産性を上げることが「正」ではありません。むしろ、ファストファッション全盛のいま、グローバルで極度に生産量やコスト削減を追求することが、大量廃棄や環境汚染の問題を引き起こしているという現実もある。我々の取り組みは社会にとっても非常に意義のあることだと思っていますし、今後はICT、IoTなども活用して「作る人」と「買う人」を完璧に繋いでいきたい。それは国内の大手SPAでもまだ実現できていないことですし、我々はいま世界に誇れるブランドづくりを通して、新しい流通の形を創ることにも挑んでいるのです。

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社)

今後の展開・求める人材

この「Factelier」という仕組みを水平展開し、「ものづくり」を支えていく。

工藤

山田さんはこの「Factelier(ファクトリエ)」を通して、従来の流通のあり方そのものを革新されようとしているのですね。

山田

我々が目指していることを実現するためには、製販一貫であることが重要であり、「ものづくり」の工場を支援していきたいと考えています。ヨーロッパの一流ブランド、たとえばGUCCIにせよHERMESにせよLouis Vuittonにせよ、いずれも小さな工房から始まったブランドです。そして、いまでも立派な工房を構えており、どこもお洒落で、多くの若者たちがモチベーション高く働いています。日本でも、若い人たちが明るく誇りを持って「ものづくり」に携わっていけるような、そんな理想のモデル工場と、現在の提携工場による良質なネットワークを築きたいと考えています。今後の日本の工場の理想のモデルを示すことができれば、それがすなわち「メイドインジャパン」を守ることにもつながっていくと思っています。

工藤

将来的には、どのようなビジョンを描いていらっしゃいますか。

山田

「作り手」と「使い手」を直接繋ぐという「Factelier(ファクトリエ)」のビジネスモデルは、アパレルに限らず、たとえば家具であったり、食品であったり、さまざまな分野で日本の「ものづくり」を応援するインフラとして機能します。ですから将来的には、この「Factelier(ファクトリエ)」を他業界にも横展開し、「メイドインジャパン」のブランドづくりをいっそう強化できるのではないかと考えています。さらに、海外へのファクトリエモデルの伝播も考えられると思っています。。実はアメリカやフランスなどでも自国製品の割合は急激に下がっており、果たして先進国において「ものづくり」は必要なのかという根源的な問題に直面しています。我々がこのビジネスモデルで成功を収めることができれば、先進国における「ものづくり」のあり方を示すことができ、それは世界にとって非常に価値のあることだと思っています。やはり、本当に人々の暮らしを豊かにするブランドはものづくりからしか生まれないという信念がありますので、我々の取り組みで世界が「ものづくり」の大切さをあらためて意識してもらえるようになれば、こんなに嬉しいことはありません。

工藤

御社はまだスタートアップの段階にありますが、いまどのような人材を求めていらっしゃるのでしょうか。

山田

新しい事業にチャレンジする時に必要なのは「熱量」です。熱量を持った人材に、その能力にふさわしい機会を提供すれば、おのずと企業は伸びていく。そしてそうした熱量はどこから生まれるのかといえば、やはり理念への共感だと思います。「メインインジャパン」を守り、日本の工場から世界が認める本物のブランドを創る、という我々が掲げる想いに「本気」で共感してくれるかどうか。おそらく我々が手がけているのは共感されやすい事業だと思いますので、その本気度を重視しています。そして本気の人材なら、きっと将来会社の柱になってくれる。それはスタートアップのいまだからこそ切に感じています。企業がある程度大きくなってから採用した人材は、やはり強い柱にはなりえない。事業を立ち上げて軌道に乗せていくという大変な時期をともにするからこそ、強い柱に育っていく。そのポテンシャルを秘めた人材にぜひ仲間になっていただきたいですね。

工藤

では最後に、候補者の方に向けてメッセージをお願いします。

山田

いま当社に参画すれば、何でもやっていただくことになると思います。負荷は大きいかもしれませんが、会社や事業そのものを創ることを経験できるのは、いまこのタイミングしかありません、我々の取り組みは、必ずこの日本という国を良くしていくことに結びつきます。新しい会社づくりと新しい社会づくり、この両方を手がけられる機会などそう手に入るものではないと思いますので、ぜひ我々と一緒にチャレンジしていきましょう。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

バックナンバー

無料で転職相談/在宅で相談OK!リモート面談好評実施中