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キャリアアップコラム

キャリアアップコラムでは、実際に行われているカウンセリング風景や、候補者の方とのやり取りをご紹介いたします。

あなたは勝負師、芸術家、研究者?
橋本 博季

Vol.90 あなたは勝負師、芸術家、研究者?

『「あるがまま」を受け入れる技術(PHP文庫)』という本の中で、スクールカウンセリングを行なう河合隼雄さんと将棋の谷川浩司九段との対談にプロフェッショナルを考える意味で大変興味深い内容がありましたので、それを用いてキャリアについて考えてみたいと思います。



将棋の世界で頂点を極めた、谷川浩司九段(知らない方もいるかと思いますが、棋士として数々の実績をお持ちの方です)は棋士に必要な素養として「勝負師」と「芸術家」と「研究者」の三つの素養を持っていることだといっています。詳しい文章は省略しますが、以下のような例えを用いています。

勝負師=実践

芸術家=創造

研究者=理論


先日あるキャリア系のワークショップで、この「勝負師」「芸術家」「研究者」をひとつのフレームとして、自分の仕事に対するスタンスをあらためて考えてみる機会がありました。先に結果をお知らせすると、その場は大変盛りあがりました。

ある人は
「勝負師として、実践あるのみ!おれは勝負師タイプだな!」
そしてある人は
「芸術家(創造)として、いろんなアイデアやとっさの判断は得意。」

などなど、自分の仕事における傾向を面白く振り返る光景がそこらで展開されて、話しは尽きません。


本題に戻して・・・・、この谷川さんの話しには続きがあります。
谷川九段はこの3つの素養を三分の一ずつバランスよく持っていることが、棋士には必要と述べています。3つの素養を偏ることなく持つことが大事だといっているわけです。

『「あるがまま」を受け入れる技術/谷川浩司、河合隼雄著』より引用:
「芸術家の部分が強すぎると、ちょっと自分が悪い手を指した時に嫌気がさしてしまって、勝負に対して淡泊になってしまう。逆に勝負師の部分があまりにも強すぎると、その一局だけ勝てばいいということで、見ていて面白い、価値ある将棋が指せないということになってしまう。それはそれでプロ棋士としてはどうかと思います。研究だけに偏ってしまうと、どうしても前例のない局面に入った時に、自分の力で切り拓いていくような逞しさに欠けてきますし、自分の発想でまったく新しい手を打ち出していくような創造性に欠けるように思います。やはり自分の力で考えて、自分だけの手を指すというのが将棋の一番の醍醐味だと思いますので。」


これはビジネスマンにおけるプロフェッショナルの定義と捉えてみると皆さんはどんな傾向があるでしょうか?

あまりにも芸術家(創造)の部分が強すぎると、「きれいな仕事」や「いい仕事」(正確にはそう見える仕事ですね)ばかりになってしまい、このご時勢ではそれだけで実績を残すことはとても難しくなっていく可能性が高いわけです。

勝負師(実践)ばかりではどうでしょう?とにかくこうと決めて実践に継ぐ実践をすることは大切ですが、それだけで終わってしまうと、仕事そのものに飽きてしまったり、面白みが欠けてしまうこともあるかもしれません。キャリアにおける燃え尽き症候群のような状態はこういったことかも知れません。

研究者(理論)という資質は一言で言えばモノを知ること。昨今非常に重視されてきています、インフラも整い昔に比べ早く、多くの情報を仕入れることが出来るようになったことも一因で、重要性が高まっていることは事実です。ただし、こればっかりではビジネスの世界では始まらないわけです。行動があってこそ、こういった知り得たことが活用されていくわけです。


さて、皆さんはプロのビジネスマンとして「勝負師」「芸術家」「研究者」のどれを磨いていきますか?

今回の教訓&アドバイス
  • 1.自分の傾向を客観的に捉えるところから、プロフェッショナリティを高めることが始まる
  • 2.プロフェッショナルとしての資質はバランスよく持つことが重要
  • 3.分野は違えど、極めた人たちから学ぶことは多い