キャリアアップコラム vol.37
侮れない第一印象

“第一印象がいい人は得だよね”などと色々な場面で話に出たりしますが、面接の場面ほどこれが影響する場面はないでしょう。持って生まれた顔を変えるわけには行きませんが、出来る範囲でよりよくする努力はしたいものです。今回は、一つの例を挙げて第一印象についてあらためて考えてみたいと思います。

Aさんは、都内の私立大学卒業後、上場企業の経理財務部門に7年在籍し、財務会計、管理会計、税務としっかりした経験を積んできている30歳の男性、今回がはじめての転職活動です。性格の良さが顔にも表れており、とても実直な印象の方です。色々とご希望をお聞きした上でお勧め企業を紹介し、翌週には早速面接に進むことに。面接前日にAさんが、「明日の面接前に少し話しを聞いてもらえませんか・・・。」と言って来社されました。

「面接は緊張しますね。先週も1社自主応募企業に面接に行きましたが、緊張してうまく答えられず、結果もダメでした。」

「明日はどんな質問が出るのでしょう?」とAさん。

普段はそんな風に見えないのですが、実は面接などの場面では相当緊張してしまうようです。

「面接では全てありのままをお話しましょう。面接だからといって、話を装飾したり、背伸びしたりせず等身大の自分を表現してください。」と私からはアドバイスをしました。

「アピールは必要ないんですか?」と意外そうに聞いてくるAさん。

「まあ、意識してアピールする必要はないですよ。」と私。

「では、こういう場合の模範的な回答とか、こういう答えはマズイとか、何かありませんかね?」と続けて聞いてくるAさん。

「ないことはないですが、そういうことを考えるよりも全て正直に答えればいいと思いますよ」と、たぶんAさんにとっては期待外れの答えだったかもしれません。

面接で出る質問は、一般的な項目(志望理由や転職動機等)以外は予想し難いのが実際です。であれば、ありのままを答えるという方針を貫くのがベストだと思います。ついつい余計なことが頭に浮かび、うっかり出任せを話してしまったが最後、その後整合性がとれなくなります。

Aさんは、「つまり、邪念を捨てて素のままで臨んだほうがいいということですね?」と確認を入れ、「はい、そうです」と私は言い切りました。

私としては、Aさんが面接で心配な点はただ一つ、緊張しすぎて本来の力が発揮できなくなることだけでした。特に緊張しすぎて、頼りない印象を与えてしまわないかが心配だったため、敢えて細かいことは言わずに、緊張を和らげるためのアドバイスをしたつもりでした。

そして、面接の翌日に応募先企業の人事担当者から連絡があり、「Aさんはすごくいいですね、是非次に進んでいただきたいです」と合格の連絡。更に人事担当者から「いい人は最初の数分でわかりますね、やっぱり第一印象って大事ですね。」とよほど嬉しかったご様子。私もリラックスできたAさんを想像しホッっとしました。事実、Aさんからも、妙に落ち着いて臨めたという報告がありました。リラックスさえしていれば非常に好印象のAさん、恐らく面接では人事の方も自然と好意的な対応に終始し、Aさんにとっても楽しい場になったのではないかと想像できます。

私には心理学的な知識は全くありませんが、面接などせいぜい相手が1人か2人程度の場で緊張してしまうのは、うまく答えられるだろうか?あるいは、本当のことが見破られはしまいか?という不安が付きまとうからではないかと思っています。その緊張を和らげるには、“飾らない“、“小細工を考えない“、“正直でいる“が一番ではないでしょうか。他の原因で緊張してしまう方もいらっしゃると思いますので、これは一つのパターンかもしれませんが、心当たりのある方には思い切って試していただきたいと思います。

(2012年3月25日)

今回の教訓&アドバイス

良い第一印象は、その後の流れをスムーズにする。

あれこれ考える→不安が生まれる→緊張する。

内容も大事だが、正直に話すことで誠実さも自然と伝わる。

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
奈良 元生
エグゼクティブポジション全般、オーナー系中堅成長企業。新規立ち上げ、事業企画系実績も多数あり。
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